「あせってはいけない。だからといってのんびりともしていられない。」と、ある名優が云っていました。

まずは俳優として、一日々々、一瞬々々を充実した意義のあるもへと変えてゆく事です。

「早く結果を出したい」と云う焦る気持ちは充分わかりますが、本当の大きな目標に辿り着く為には、まず「実力をつける」こと、つまりは「自信を持つ」ことが最終的には近道です。

俳優は自分が「辞めた」と云うか、命が尽きる迄、現役であり、修行です。

紀伊国屋サザンシアター 「蟻のごちそう~The Feast of the Ants」
紀伊国屋サザンシアター 「蟻のごちそう~The Feast of the Ants」

劇団夢現舎 稽古概要

一、舞台に「立つ」

「立つ」とは「存在」する事。

誰にでも出来るからこそ最も難しいのだけれど、意外と軽視されがちです。私達は「立つ」と云う行為は俳優の基本であり、生涯研鑽してゆくべきものだと考えています。「舞台でしっかりと存在感を持って立つ」そこから総てが始まります。

二、心身の開放

複雑化した人間社会を生きる上で、人はどうしても心を閉ざしがちになります。しかし、俳優はあらゆるものを受容れ、そして余すところなく放出しなければなりません。新しい自分に出会う為、様々な方法を用いて心と体の開放を目指します。

三、基本の徹底

「俳優は舞台上では〝超人(スーパーマン)″でなければいけない」と云うのが我々の信条です。然しその為には地道な基本鍛錬の繰返しが必要です。舞台上で耐えうる肉体づくりと身のこなし、五感の覚醒、呼吸法、発声法、伝わる日本語音声等々、日々コツコツと積み重ねてゆきます。俳優の心身は楽器であり、精密機械です。錆びつかせる事があってはいけません。

四、審美眼と演出的視点~物を見る眼

稽古を重ねる上で、何が良くて、何が悪いか、その基準がなければ上達はありません。稽古を通してそれを判断する事が出来る「観」と「感」と「勘」と「間」と「歓」を養うと共に、大観を見渡せる演出的視野を身につけます。

専属美術・山下氏によるデッサン教室
専属美術・山下氏によるデッサン教室

五、和の所作

表現とは自分自身を最大限活かす事です。その為にも私達は「日本人である」と云う特権を使わない手はありません。和の所作を通して我々の心身に宿る潜在能力を呼起します。

金春流シテ方能楽師・山井綱雄氏によるすり足講座
金春流シテ方能楽師・山井綱雄氏によるすり足講座

六、一つじゃ、多すぎる

演劇の稽古だからと云って、演劇だけに固執しません。太極拳・抜刀・合気道・殺陣・茶道・能・狂言・講談・禅・ヨガ・マット運動等を通して、演劇に必要な身体と考え方を育てます。また、実際の駅でゲリラエチュードを試みる等、現実世界に飛び出したゲリラ稽古も行います。

あらゆるものを融合して、貴方にしかできない世界唯一の演技を生み出して下さい。

無双神伝英信流/渋川一流柔術・森本邦生師範による居合稽古
無双神伝英信流/渋川一流柔術・森本邦生師範による居合稽古

七、演劇の基礎知識

社会人としての一般教養、並びに演劇人としての基礎知識を学びます。また、公演活動を通して、スタッフワークや制作業務を直接体験し、公演や劇団の運営のノウハウを習得します。

その他、観劇会や講演会等を随時行い見識を広めます。国内のみならず海外の演劇についても学んで頂きます。

「裁判員劇」にて中学校授業参加
「裁判員劇」にて中学校授業参加
ロンドン終演後
ロンドン終演後

八、独り稽古

「俳優は独りの時のみ成長する」と云う言葉にもあるように個人の時間がとても重要です。故に有意義な独り稽古が出来るようになってはじめて一人前と言えます。その為にも独りでも出来る稽古の実践法を身に付け、ヴァリエーションを増やし、常に向上する心構えとモチベーションを維持します。

英国の演劇学校と合同ワークショップ
英国の演劇学校と合同ワークショップ

九、自立心

俳優はある意味、それぞれが個人事業主です。何事も自ら興してゆかねばならず、人任せでは成立ちません。当然、舞台の上でも、自分の主張を持ち、自分の考えで動いていかなければ、観客の心は動きません。そして更には、セルフプロヂュース力を高め、俳優としての自覚を確立する事が重要になります。私達は常に皆さんの自主性を尊重し、話合いを重ねながら稽古・運営を進めてゆくと同時に、意識改革を促し、演出家の云うがままではなく、「自分が創造するんだ!」というエネルギー溢れる俳優である事を目指します。

十、才能

芸術家になる為には才能が必要です。これは誰もが云うことであり、紛れもない事実です。しかし、あなたの有無は一体誰が決めるのでしょう? 才能というものは誰しも持っているもので、それを発見し、発展させた人が才能のある人と言われるのではないでしょうか。才能は優劣を決める為のボーダーラインではありません。誰もが有する権利だと私達は考えています。その可能性をどこまでも探って下さい。

ロンドン地元紙レヴュー
ロンドン地元紙レヴュー

十一、遊び心

俳優は誰も見た事も無い新しい事をみつけてやろうと常にドキドキする開拓者であり、大きな目標に向かってワクワクし続ける冒険者なのです。難しい事を考えるのは止して、純粋な子供みたいな「コトナ」でいましょう。

この俳優に最も必要なドキドキワクワクする「遊び心」を育み、守ってゆく事がワタシ達の基本理念です。


【見学/個人相談について】

昔から武芸の世界では「弟子の権利は師匠を選ぶことのみ」と云われる位、自分に合った所属場所を見つける事は大切で難しい。希望される方には稽古見学、個人相談を受付けておりますので、まずはご来所頂き、皆さんの想いをトコトンぶつけて下さい。重要な事は、色々な団体に触れて、熟考し、納得した上で、長く続けられる環境を選択する事ではないでしょうか? 可能性は誰にでもあります。我々の活動に参加する云々は別にして、その可能性が開花する為に、多少なりともお手伝いが出来ればと思っております。如何ぞ、何方様も遠慮なく劇団までご一報下さい。

エディンバラ演劇祭にて
エディンバラ演劇祭にて